その笑顔を永遠に

「いそろくさん、私、癌になっちゃたんです。
だから遺影を撮って欲しい。」
って、笑顔で冗談ぽく頼まれた。

「了解!いつでも撮る。」
と言いながら、半年が過ぎた。
「治療が終わって退院できました。
この頭、カツラやねん、よくできてるでしょ。」
って、半年の苦労を笑い飛ばした彼女。

その笑顔が強がりに思えた瞬間、
ちゃんと遺影を撮ってあげないとと思う気持ちが込み上げた。
死を感じた彼女から出た遺影という言葉・・・

休日の午後、明石の海岸にて
彼女の表情を追い続けた。

後日、作品をまとめたフォトブックを彼女に渡した。

自分の写真を見た瞬間、彼女の目に涙があふれた。
その涙の奥に、僕には想像もつかない
過酷な施術や抗がん剤治療を乗り越えてきた彼女の本音が
聞こえたような気がした。
その笑顔 永遠に